
高配当株って何を基準に選べばいいの?買ったあと減配されたら困るんだけど……
この記事でわかること
- 高配当株を選ぶ8つの具体的な基準
- EPSの伸びで「配当を増やし続ける力」を確認する方法
- 10年単位の長期実績で減配リスクを見極める手順
- 実際の保有銘柄3つのEPS・配当データを公開
高配当株を選ぶとき、「今の利回りが高いか」だけを見ていると、買った翌年に減配されて取得利回りが下がる……という事態が起こりえます。高配当投資を長く続けるために本当に大切なのは、「その企業が長期にわたって稼ぐ力を伸ばし、配当を維持・増加させてきた実績があるか」です。
実際に34銘柄を保有・管理してきた経験から、購入基準を8つにまとめました。現在のポートフォリオ全体の配当利回りは4.39%、年間配当金は税引前で約10万円です。
僕が使っている8つの購入基準(結論)
基準は「ポートフォリオの組み方」と「銘柄の財務チェック」の2グループに分けています。
【ポートフォリオの組み方】5つの基準
- 取得時の配当利回りが3.5%以上(目標は4%以上)
- 1セクターの保有比率を10%以内に抑える
- ディフェンシブ:景気敏感 = 5:5 を保つ
- 国内株のみに絞る(為替リスクを排除)
- 原則として売らない(割合リバランスで調整)
【銘柄の財務チェック】3つの基準
- EPS(1株当たり利益)が長期で伸びている
- 長期間にわたって減配していない(10年以上の実績)
- 自己資本比率が高い(50%以上が目安)
財務チェックを先に通過させることで、買った後に「減配→割合が崩れる→リバランスが必要」という事態を減らせます。それぞれ詳しく解説します。
基準①:取得時の利回りが3.5%以上
配当利回りは「どの株価で買ったか」によって大きく変わります。株価が上昇すれば利回りは下がり、下落すれば上がる。だから大切なのは「現在の時価利回り」ではなく、「取得時の利回り(取得利回り)」です。
実際に保有している34銘柄の取得利回りを分析すると、次のような分布になっていました。
| 取得利回り | 銘柄数 |
|---|---|
| 3.0〜3.5% | 2銘柄 |
| 3.5〜4.0% | 11銘柄(最多) |
| 4.0〜4.5% | 6銘柄 |
| 4.5〜5.0% | 9銘柄 |
| 5.0%以上 | 6銘柄 |
平均は4.43%。3.5%を最低ラインとして設定し、できれば4%以上を狙うのが基本方針です。また、株価上昇で時価利回りが3%を下回った銘柄への追加投資はいったんストップするのが僕のルールです。
「取得利回り」と「時価利回り」の違い
取得利回り=年間配当金 ÷ 自分が買った値段
時価利回り=年間配当金 ÷ 現在の株価
長期保有では取得利回りで管理する方が実態を正確に把握できます。含み益が出ていても「取得時に4%で買えた」という事実は変わらないからです。
利回りが高すぎる株には注意
取得利回りが7〜8%という銘柄は魅力的に見えますが、それだけ市場が「減配リスクあり」と判断していることも多い。特別配当が含まれていて翌年から通常配当に戻るパターンも要注意です。高すぎる利回りは「罠」の可能性を疑う癖をつけることが大切です。
基準②:1セクターの比率を10%以内に抑える
高配当株投資の最大のリスクは「集中投資による減配ショック」です。銀行株ばかりに偏っていると、金利政策の変化で複数銘柄が同時に減配……ということが起こりえます。
僕のポートフォリオは20セクターに分散しており、1セクターあたりの上限を10%前後に設定しています。最も比率が高い「サービス業」でも9.7%、「化学」が9.0%。1つのセクターが10%を超えたら、そこへの追加投資はいったんストップ。これだけで集中リスクはかなり抑えられます。
基準③:ディフェンシブ:景気敏感 = 5:5
「ディフェンシブ株」とは景気に関わらず安定した業績を出しやすい業種(食料品・情報通信・サービス業など)。「景気敏感株」は景気の波の影響を受けやすい業種(化学・建設・金融など)です。
| 種別 | 評価額 | 割合 | 銘柄数 |
|---|---|---|---|
| ディフェンシブ | 約121万円 | 49.5% | 16銘柄 |
| 景気敏感 | 約124万円 | 50.5% | 18銘柄 |
景気が悪い時期はディフェンシブ株が配当を守り、景気が良い時期は景気敏感株が上振れする。この組み合わせがポートフォリオ全体の安定につながります。
基準④:国内株のみ(為替リスクを排除)
米国高配当ETFなどは利回りが高く魅力的ですが、円高局面では配当も評価額も目減りします。年間配当500ドルの場合、為替が1ドル=150円→120円になれば受取額は75,000円→60,000円、約20%の目減りです。
高配当投資の目的は「もらえる配当金を安定させること」。予測が難しい為替という変数を排除するため、国内株だけに絞ると決めました。日本に住んで日本円で生活するなら、国内株だけで十分な分散は確保できます。
基準⑤:原則として売らない(割合リバランスで調整)
保有銘柄の株価が下がっても、原則として売りません。代わりに使っているのが「割合リバランス(買い増しのみ)」という方法です。
- 各銘柄に目標割合(例:3%)を設定する
- 実際の割合が目標より下がったら、差分を買い増しで補正する
- 追加資金を入れるときは「投入後の総額に対して各銘柄が目標割合に近づくよう」振り分ける
- 目標割合を超えて上昇した銘柄は追加投資をスキップし、自然に薄まるのを待つ
売らずに調整できるので、譲渡益課税が発生しないのも大きなメリットです。ただし、この方法が安心して機能するのは「財務の強い銘柄を最初に選んでいる」ことが前提です。その判断に使うのが次の3つの財務チェックです。
長期保有を支える財務チェック3つ
買った後にリバランスの手間を減らすには、「そもそも長期間安定して配当を出し続けられる企業」を最初に選ぶことが一番重要です。短期的な好業績よりも、10年単位で稼ぐ力を伸ばしてきた実績を重視します。
基準⑥:EPSが長期で伸びている
EPS(Earnings Per Share=1株当たり純利益)は、「その企業が1株に対してどれだけ稼いでいるか」を示す指標です。EPSが伸び続けている企業は、増配の余力があり、減配リスクが低いと判断できます。配当はあくまでも利益から支払われるものなので、利益が伸びていなければ配当も増やせません。
逆に、配当はそのままなのにEPSが下がり続けている企業は、いずれ配当を維持できなくなるリスクがあります。「今の利回りが高い」だけでなく、EPSが右肩上がりかどうかを必ず確認することが長期保有の安心感につながります。
【調べ方:IR BANKで確認する】
- IR BANK(irbank.net)にアクセスする
- 検索窓に銘柄コードまたは銘柄名を入力する
- 「業績」タブを選択する
- 「EPS」の列を見て、過去5〜10年で右肩上がりかを確認する
配当性向もあわせて確認しよう
配当性向=配当金 ÷ EPS × 100。この数値が高すぎる(目安:80%以上)と、利益のほぼ全額を配当に回している状態で、業績が少し悪化しただけで減配リスクが高まります。EPSが伸びていて配当性向が50〜70%程度に収まっている銘柄が理想的です。
基準⑦:10年以上、減配していない
EPSの伸びとセットで確認したいのが、配当の継続実績です。10年以上にわたって一度も減配していない企業は、リーマンショック・東日本大震災・コロナショックといった複数の経済危機を乗り越えてきた実績があります。そのような企業は、経営陣に「株主への配当を守る」という強い意志があり、財務体質もそれを支えられる水準にあることを示しています。
コロナショックはあくまでもその長い実績の中の通過点の一つです。重要なのは「特定の危機に耐えたか」ではなく、長い時間軸の中で一貫して配当を維持・増配し続けてきたかという点です。
【調べ方:IR BANKで確認する】
- IR BANKで銘柄を検索し「業績」タブを開く
- 「配当」の列を見て、過去10年以上で一度も前年を下回っている年がないか確認する
- 横ばい〜増配が続いていれば合格。1年でも大きく下がっている年があれば要注意
「今は業績が戻ったから大丈夫」は危険
過去に減配があった企業でも、現在は業績が回復しているケースはあります。しかし一度減配した企業は、次の不況時にも同じ判断をする可能性が高いです。長期保有を前提とするなら、減配の前歴がある企業は最初から選ばない方がリバランスの手間が減ります。
基準⑧:自己資本比率が50%以上
自己資本比率とは「総資産のうち借金ではない自己資金の割合」です。この数値が高いほど財務に余裕があり、業績が一時的に落ちても借金に追われることなく配当を維持しやすくなります。目安は50%以上。製造業・サービス業ではこれを一つの基準にしています(銀行・不動産は業種の構造上低くなりやすいため例外)。
【調べ方:IR BANKまたはバフェットコードで確認する】
- IR BANKの「業績」タブ内に自己資本比率の推移が掲載されている
- またはバフェットコード(buffett-code.com)で検索→「財務」→「安全性」でグラフ表示される
- 過去10年で常に50%以上を維持しているかを確認する。一時的な低下があっても回復していれば問題ない
実際の保有銘柄で見るEPS・配当の長期推移
ここからは実際に保有している3銘柄のデータで、財務チェックの見方を解説します。いずれもIR BANKで取得した実際のデータです。
①学究社(9769):学習塾 / 取得利回り4.56%
首都圏を中心に学習塾を展開する学究社。教育サービスは景気に左右されにくいディフェンシブ業種の代表格です。
| 年度 | EPS(円) | 配当(円) | 配当性向 | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|
| 2017/03 | 91 | 60 | 65.9% | 53.9% |
| 2018/03 | 91 | 60 | 65.9% | 53.6% |
| 2019/03 | 77 | 60 | 77.9% | 50.8% |
| 2020/03 | 84 | 60 | 71.4% | 46.0% |
| 2021/03 | 101 | 65 | 64.4% | 42.8% |
| 2022/03 | 138 | 75 | 54.3% | 49.9% |
| 2023/03 | 172 | 87 | 50.6% | 54.2% |
| 2024/03 | 168 | 87 | 51.8% | 59.5% |
| 2025/03 | 171 | 90 | 52.6% | 60.3% |
| 2026/03 | 170 | 103 | 60.6% | 65.0% |
- ✅ EPS成長:91円→170円へ10年で約2倍。利益を伸ばし続けている
- ✅ 減配ゼロ:10年間一度も配当を下げていない。60円→103円に増配継続
- ✅ 配当性向:50〜70%台で安定。増配の余力が常に確保されている
- ✅ 自己資本比率:一時42.8%まで低下したが直近65.0%まで回復・上昇中
②立川ブラインド工業(7989):内装建材メーカー / 取得利回り5.76%
ブラインド・ロールスクリーンなどを製造・販売する内装建材メーカー。リフォーム需要に支えられ、EPSが長期にわたって安定的に伸びています。
| 年度 | EPS(円) | 配当(円) | 配当性向 | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|
| 2017/12 | 117 | 15 | 12.8% | 65.5% |
| 2018/12 | 119 | 23 | 19.3% | 66.5% |
| 2019/12 | 142 | 28 | 19.7% | 67.0% |
| 2020/12 | 149 | 29 | 19.5% | 69.2% |
| 2021/12 | 147 | 30 | 20.4% | 70.1% |
| 2022/12 | 130 | 31 | 23.8% | 70.1% |
| 2023/12 | 143 | 36 | 25.2% | 72.9% |
| 2024/12 | 149 | 46 | 30.9% | 83.0% |
| 2025/12(予) | 161 | 70 | 43.5% | — |
- ✅ EPS成長:70円→161円(予)へ約2倍以上。利益が着実に拡大
- ✅ 減配ゼロ:8年連続増配。EPSが安定しているため一度も下げる必要がなかった
- ⚠️ 配当性向:長年20%台と低く増配余地が大きかった。近年は配当を大幅に引き上げ中
- ✅ 自己資本比率:直近83.0%。借金がほとんどない超健全財務
③エーアイテイー(9381):国際物流 / 取得利回り5.01%
国際物流・貿易事業を手がける中堅企業。EPSが大きく伸びており、それに連動して配当も3倍超に増加しています。
| 年度 | EPS(円) | 配当(円) | 配当性向 | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|
| 2017/02 | 51 | 30 | 58.8% | 74.3% |
| 2018/02 | 58 | 35 | 60.3% | 72.9% |
| 2019/02 | 61 | 36 | 59.0% | 72.2% |
| 2020/02 | 55 | 36 | 65.5% | 54.9% |
| 2021/02 | 73 | 38 | 52.1% | 55.6% |
| 2022/02 | 101 | 58 | 57.4% | 59.2% |
| 2023/02 | 157 | 80 | 51.0% | 65.6% |
| 2024/02 | 127 | 80 | 63.0% | 73.4% |
| 2025/02 | 130 | 80 | 61.5% | 74.6% |
| 2026/02 | 135 | 100 | 74.1% | 74.3% |
- ✅ EPS成長:51円→135円へ約2.6倍。物流需要の拡大を取り込んで利益を伸ばしてきた
- ✅ 減配ゼロ:10年間一度も減配なし。EPSが一時的に下がった年も配当を維持した
- ✅ 配当性向:50〜70%台で推移。直近74%は少し高めだが許容範囲内
- ✅ 自己資本比率:一時54.9%まで低下したが74.3%まで回復。常に50%超を維持
3銘柄に共通する長期保有向きの特徴
この3銘柄はいずれも「EPSが長期で伸びている→増配の余力がある→だから10年以上減配せずに来られた」という構造を持っています。コロナショックや一時的な業績の揺れはその長い実績の中の一つの通過点に過ぎません。「今の利回り」ではなく「10年の利益成長と配当実績」を見る——この視点が長期保有を安心して続けるための土台になります。
まとめ
まとめ:高配当株の選び方8つの基準
「今の利回りが高い」は入口にすぎません。その先に「EPSが伸び続けているか」「10年以上、一度も配当を下げていないか」という問いを重ねることで、長く安心して持ち続けられる銘柄かどうかを判断できます。

IR BANKでEPSと配当の10年推移を見るだけ。5分でわかる、これが長期保有銘柄の選び方の基本です!


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