
「老後2000万円問題」って聞くだけで不安になりますよね。でも実はその2000万円、”平均世帯”の話なんです。あなた自身の数字は、計算してみると全然違うかもしれません。ぜひブックマークしておいて、ライフプランを考えるときに何度でも見返してみてください。
この記事でわかること
- 「老後2000万円問題」の元ネタと、2025年時点で数字がどう変わっているか
- 「赤字」の中身には、削れる裁量的支出や、退職で自然に減る費目(食費・交通費)も含まれていること
- 僕がiDeCo・NISA・高配当株をどう使い分けて備えているか
- 自分の場合の「老後◯◯万円問題」がその場でわかる計算フォーム
結論から言います。「老後2000万円」はあくまで平均的な世帯の試算です。自分の年金見込み額・生活費・すでにやっている資産形成を当てはめてみると、多くの人はその数字がもっと小さく、人によっては「気づいたらもう解決していた」ということも普通にあります。
この記事では、老後2000万円問題の中身を最新データで整理したうえで、あなた自身の「老後◯◯万円問題」がその場でわかる計算フォームを用意しました。あわせて僕がiDeCo・NISA・高配当株をどう使い分けているかも正直に公開します。
そもそも「老後2000万円問題」とは何だったのか
発端は2019年6月、金融庁の金融審議会・市場ワーキング・グループが公表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」です。総務省の2017年家計調査をもとに、夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみ無職世帯(=年金収入だけで暮らす世帯)を試算したところ、毎月の赤字が5万4,519円あり、これが30年続くと約2,000万円足りなくなる、という内容でした。
| 項目 | 金額(月額) |
|---|---|
| 実収入 | 209,198円 |
| 実支出 | 263,717円 |
| 毎月の赤字 | 54,519円 |
出典:総務省統計局「家計調査」(2017年平均・高齢夫婦無職世帯)を基に金融庁が試算
前提は「片働きモデル」だった点に注意
この試算のモデル世帯は、年金収入だけで暮らす夫婦という設定です。現在は共働き世帯が2024年平均で1,300万世帯(全体の約71.9%)まで増え、専業主婦世帯(508万世帯)を大きく上回っています(労働政策研究・研修機構)。夫婦とも厚生年金を受け取る世帯が増えているぶん、年金収入は元の試算より多くなっているケースが多いはずです。
2025年の最新データでは「老後1528万円」に
総務省統計局の最新の家計調査(2025年平均)を見ると、赤字幅そのものは当時より縮小しています。
| 項目 | 金額(月額) |
|---|---|
| 実収入(うち年金等228,614円) | 254,395円 |
| 非消費支出(税金・社会保険料) | 32,850円 |
| 可処分所得 | 221,545円 |
| 消費支出 | 263,979円 |
| 毎月の赤字 | 42,434円 |
| 30年換算の不足額 | 約1,528万円 |
物価は上がっているのに、年金額の改定などで実収入も伸びた結果、赤字幅は縮小傾向(5.5万円→4.2万円)にあります。ただし油断はできません。2026年度の年金改定率(+2.0%)は物価上昇率を下回る見込みで、日本経済新聞の分析では2026年に必要額が再び2,000万円近辺に戻る可能性も指摘されています。「もう解決した問題」でも「一生解決しない問題」でもなく、毎年数字が動く”生きた試算”だと捉えるのが正確です。
その「赤字」、実は全部が”必要経費”じゃない

ここが今回一番伝えたいポイントです。消費支出の内訳を見ると、実は「削れる余地がある費目」が結構な割合を占めています。
| 費目 | 金額(月額) | 性質 |
|---|---|---|
| 食料 | 78,571円 | 現役よりやや減 |
| 住居 | 16,910円 | ※持ち家前提 |
| 水道光熱費 | 22,556円 | 固定的 |
| 家具・家事用品 | 12,621円 | やや裁量的 |
| 被服及び履物 | 5,752円 | やや裁量的 |
| 保健医療 | 18,917円 | 固定的 |
| 交通・通信 | 28,575円 | 現役より大幅減 |
| 教育 | 0円 | − |
| 教養娯楽 | 26,115円 | 裁量的 |
| その他の消費支出 | 53,962円 | 裁量的 |
出典:三井住友信託銀行「老後の生活費はいくら必要?」(総務省統計局「家計調査年報2024年」の費目構成比を2025年の消費支出総額に按分した参考値)
「その他の消費支出」53,962円は、総務省の定義で「諸雑費・こづかい(使途不明)・交際費・仕送り金」の4つで構成されています。つまり食費や光熱費のような削りにくい固定費とは違って、完全に裁量で調整できるお金です。食料に次ぐ大きさなのに、中身は「絶対に必要」とは言い切れません。
住居費16,910円はほぼ「持ち家・ローン完済」前提
この平均は持ち家世帯が大半という前提です。65歳時点で賃貸に住んでいる人、住宅ローンが残っている人は、この数字よりかなり高くなります(家賃相場次第では月5〜10万円プラスも普通です)。自分に当てはめる時はここを一番調整してください。
交際費・こづかいは「特別費」として別枠にする手もある
冠婚葬祭や孫への仕送りが多い年・少ない年で振れ幅が出やすいのが「その他の消費支出」です。毎月の固定費として抱え込まず、ボーナス月や年払いで積み立てる「特別費」枠にしてしまうと、月々の赤字感はかなり軽くなります。
食費・交通費も「現役時代のまま」ではない
上の表で食料と交通・通信を「固定的」と書きましたが、正確には少し違います。この2つは金額そのものが動かないという意味の固定費ではなく、退職して生活スタイルが変わることで、放っておいても自然に金額が変化する費目です。特に交通・通信費は、現役世代と比べるとはっきり差が出ます。
| 費目 | 現役世代(勤労者世帯) | 高齢夫婦無職世帯 | 水準 |
|---|---|---|---|
| 食料 | 93,800円 | 78,571円 | 約84% |
| 交通・通信 | 56,900円 | 28,575円 | 約50% |
出典:総務省統計局「家計調査報告」2025年平均(勤労者世帯=二人以上の世帯のうち勤労者世帯、高齢夫婦無職世帯の数値は本記事内の按分値)
交通・通信費は現役世代のほぼ半分。理由はシンプルで、退職すると通勤がなくなるからです。
交通費が減る具体例
- 通勤定期代・通勤のガソリン代がまるごと不要に——電車通勤だった人は月1〜2万円、車通勤だった人はガソリン代・駐車場代がそのまま浮きます
- マイカーを手放す、または1台に減らす——保険・自動車税・車検・駐車場代を合わせると車の維持費は年間30〜50万円になることも珍しくなく、これがゼロ〜半減するインパクトは大きいです(車まわりの固定費を見直した話にも通じますが、退職を機に一度棚卸しする価値があります)
減るだけとは限らない
通勤がなくなる一方で、加齢とともに通院の頻度が増え、タクシーや公共交通での通院費がじわじわ増えるケースもあります。「減る要素」と「増える要素」の両方を見ておくのが大事です。
食費は交通費ほど劇的には減りません(現役世代の8割程度)。外食・接待・同僚とのランチが減る一方、時間に余裕ができて自炊が増えたり、逆に健康を意識して食材にお金をかけるようになったりと、個人差が大きい費目です。「現役時代の生活費をそのままスライドさせる」のではなく、費目ごとに変化の方向を考えるのが、老後資金を正確に見積もるコツです。

自分の場合の「老後◯◯万円問題」を計算してみよう
ここまでの数字はあくまで平均です。下のフォームには2025年の平均データがあらかじめ入力されているので、自分の「ねんきん定期便」の見込み額や実際の生活費に書き換えて、「計算する」を押してみてください。
あなたの「老後◯◯万円問題」計算フォーム
初期値は総務省統計局「家計調査」の高齢夫婦無職世帯の平均データです。ご自身の数字に書き換えて計算してください。
初期値のままだと「老後1528万円問題」と出るはずです。ここに自分の年金見込み額(ねんきん定期便に記載)と実際の生活費を入れて再計算してみてください。住居費を実態に合わせる、その他の消費支出を減らす、資産額を入れる——このあたりを動かすだけで、数字はかなり変わります。
僕がiDeCo・NISA・高配当株をどう使い分けているか
計算フォームの「現在の資産額」を埋めるには、何かしら老後資金を準備している必要があります。僕自身は、iDeCo・NISA・高配当株の3つを役割で使い分けています。
| 制度・方法 | 税制優遇 | 引き出し | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| iDeCo | 掛金が全額所得控除 | 原則60歳まで不可 | 老後資金専用 |
| NISA | 運用益が非課税 | いつでも可 | 老後資金+いざという時の備え |
| 高配当株(NISA活用) | 配当・売却益が非課税 | いつでも可 | 配当を"今"受け取りたい人 |
出典:金融庁「NISA特設ウェブサイト」、国税庁iDeCo関連資料を基に作成
僕が実際に優先しているのはNISAです。iDeCoは掛金が全額所得控除になる節税メリットは大きいのですが、原則60歳まで引き出せないという制約が、正直あまり自分の好みに合っていません(もちろんこれは個人の感覚で、その時々のライフステージ・状況次第で考えは変わると思っています)。なので今は、NISAの成長投資枠で高配当株に投資し、そこから得られる配当金や運用益で老後資金をまかなえるように、投資を継続していくというスタンスです。iDeCoは、NISAの非課税枠(年間240万円)を使い切ったあとに、追加で活用するかどうかを検討する位置づけにしています。
NISA優先、iDeCoは「枠を使い切ってから」検討
iDeCoは60歳まで引き出せないぶん、自由度はNISAより低くなります。僕はまずNISAの非課税枠を使い切ることを優先し、iDeCoはそのあとで自分の状況(年齢・収入・ライフプラン)に応じて検討する、という位置づけです。節税効果だけで判断せず、「いつ引き出せるか」を自分がどれだけ気にするタイプかも判断材料にしてください。
NISAの成長投資枠(年間240万円)で高配当株を買うと、配当も売却益も非課税になります。僕が高配当株を選んでいる理由や、実際にどう銘柄を選んでいるかは以下の記事にまとめています。


「配当を再投資(複利)にすべきか、使うべきか」で迷っている人には、20年シミュレーションで比較した記事もあります。まだ証券口座を持っていない人は、始め方から確認してみてください。


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僕の毎月の運用実績(買い増し額・評価損益・年間配当見込み)は、以下で実際の数字を公開しています。

まとめ
- 「老後2000万円」は2017年の平均世帯データが元。2025年最新では赤字は縮小し「約1,528万円」に
- ただし2026年は物価上昇が年金改定を上回る見込みで、再び数字が膨らむ可能性もある
- 赤字の中身には「その他の消費支出」など裁量的に削れる部分が多く含まれている
- 交通・通信費は退職後に現役世代のほぼ半分まで下がる傾向(通勤消滅の影響)。食費は現役の8割程度と個人差が大きい
- 僕はNISA(高配当株)を優先し、そこで得た配当金・運用益で老後資金をまかなう方針。iDeCoは60歳まで引き出せない制約が自分の好みではないため、NISA枠を使い切ってから検討する位置づけ
- 自分の場合の数字は、記事内の計算フォームに自分の年金見込み額・生活費を入れればすぐわかる

「2000万円」という数字だけが独り歩きしがちですが、大事なのは自分の場合の数字を知ることだと思います。計算フォームで一度、自分の数字を出してみてください。思ったより悪くないかもしれません。
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