「今みたいな不安定な時期に投資を始めていいの?」「戦争が起きてるのに積立を続けて大丈夫?」——2026年に入って米イラン衝突が起きてから、こんな声をよく耳にするようになりました。
僕自身も6年間お金と向き合ってきて、節目のたびに同じ問いを立ててきました。結論から言います。長期投資の目線なら、戦争中でもNISAを始めること・続けることは正解です。ただし、1つだけ見逃してはいけないリスクがあります。歴史データをもとに、その根拠をちゃんと説明しますね。
結論:2026年、NISAは始めるべき。ただし「油断」は禁物
長期投資(10年以上)の視点では、戦争・紛争は株価の一時的な揺れにすぎないというのが歴史データの答えです。過去の主要紛争で市場が回復するまでの平均期間、なんとわずか約28日。1年後には70%の確率でS&P500がプラスに転じています。
参考:Hartford Funds「Military Conflicts May Rattle Markets, But Not for Long」
「でも今回は違う」と感じるかもしれません。だから、過去のデータを一つひとつ見ていきましょう。
過去の主要戦争・紛争時の株価データを検証する
| 紛争・事件 | 開始時期 | 3か月後 | 1年後 | 3年後 | 5年後 |
|---|---|---|---|---|---|
| フランス侵攻 | 1940年5月 | −15.3% | −0.9% | +4.1% | +4.2% |
| 真珠湾攻撃 | 1941年12月 | −12.4% | +11.7% | +9.5% | +9.6% |
| 朝鮮戦争 | 1950年6月 | +1.5% | +8.1% | +16.4% | +11.7% |
| キューバ危機 | 1962年10月 | +17.4% | +18.3% | +11.4% | +7.0% |
| イラク戦争 | 2003年3月 | +15.6% | +14.3% | +8.2% | +5.9% |
| ウクライナ侵攻 | 2022年2月 | −13.0% | +9.5% | — | — |
| ハマス・イスラエル | 2023年10月 | +9.7% | — | — | — |
| 中央値 | — | −0.7% | +9.1% | +9.6% | +10.5% |
出典:Hartford Funds「Military Conflicts May Rattle Markets, but Not for Long」(帰属明記のもと複製・掲載)
① 湾岸戦争(1990〜1991年):最大17%下落→その後26%反発
1990年8月、イラクがクウェートへ侵攻。原油が急騰して、S&P500は底値まで約17%下落しました。でも底値から地上作戦開始(1991年1月)までに約26%反発。「やばい、売ろう」って動いた人ほど大きなリターンを逃しているんです。
参考:マネックス証券「米イラン緊張を受け、1990年湾岸戦争時の米国市場を振り返る」
② 9.11同時多発テロ(2001年):市場閉鎖→再開後7%急落→1か月で回復
2001年9月11日、NY市場は6日間閉鎖。再開後の初日にダウは約7%下落しましたが、その後1〜2か月でほぼ回復。パニックで売った人だけが損を確定させる羽目になりました。
③ イラク戦争(2003年):開戦と同時に株価上昇
面白いのが2003年のイラク開戦。市場は開戦前まで下落し続けて、いざ開戦したら逆に上がりました。「噂で売って、事実で買う(Sell on the rumor, Buy on the fact)」まさにその典型です。
④ ロシアのウクライナ侵攻(2022年2月24日):同日中に回復
侵攻のニュースでS&P500先物は急落。でも寄り付き直後からもう回復し始めて、その日のうちに前日比+1.5%で引けました。積立を止めなかった人はそのまま恩恵を受けています。
参考:ねほり.com「『遠い戦争は買い』なのか?過去の軍事出来事とS&P500のパフォーマンス」
⑤ 米イラン衝突(2026年2月〜):原油急騰→短期収束シナリオが有力
2026年2月28日、米・イスラエルがイランを攻撃。ホルムズ海峡が事実上封鎖されてWTI原油は一時1バレル119ドル台まで急騰しました。日経平均は3月2日に58,057円(前週比−1.35%)まで下落。
ただG7が戦略備蓄を放出すると原油は80ドル台まで急落。野村証券は「イラン情勢は4〜6月に収束」をメインシナリオにしていて、年末S&P500は7,300、日経平均は6万円を予想しています。
参考:野村証券「S&P500の見通しを変更 イラン情勢は遅かれ早かれ収束し、株高基調は継続すると予想」
唯一の例外:「石油ショック型」の戦争には注意
唯一の例外があります。1973年の第四次中東戦争(ヨム・キプール戦争)+アラブ石油禁輸です。原油が約4倍に跳ね上がって、インフレが長期化。S&P500は2桁台の下落が続きました。
現在の米イラン衝突との違い:
- 米国はシェール革命でエネルギー自給率が高くて、中東依存度が1973年とは比べものにならないほど低い
- G7が戦略備蓄をすぐ放出できる仕組みが整っている
- 日本の製造業のGDP比率が下がっているため、油価10%上昇でもTOPIX利益への影響は約1〜1.25%にとどまる
参考:日本生命「中東危機のS&P500へのインパクトを考える」
ただし「長期化+禁輸」シナリオになったら話は別です。原油が100ドル台に定着してインフレが再燃するようなら、積立額の見直しも考えてください。
戦争中でも積立NISAを続けるべき3つの理由
理由1:暴落時こそ安く多く買えている
積立投資(ドルコスト平均法)のいいところは、価格が下がると自動的に多く口数を買えること。2026年3月の下落局面で積立を止めた人は、安値で仕込む機会を丸ごと逃しました。「暴落はセール期間」、これが長期投資家の合言葉です。
| 月 | 基準価額 | 投資額 | 購入口数 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 10,000円 | 10,000円 | 1.00口 |
| 2月 | 7,000円(−30%) | 10,000円 | 1.43口 |
| 3月 | 5,000円(−50%) | 10,000円 | 2.00口 |
| 4月 | 8,000円(+60%) | 10,000円 | 1.25口 |
| 5月 | 11,000円(+10%超) | 10,000円 | 0.91口 |
| 合計 | 平均取得:約6,289円/口 | 50,000円 | 6.59口 |
5月末時点の時価:6.59口 × 11,000円 = 72,490円(元本比 +44.9%)
一括投資(1月に全額)の場合:5口 × 11,000円 = 55,000円(+10%)
※計算例は解説用。実際の運用成績を保証するものではありません。
理由2:始める1年の遅れは数十万円の差になる
月5万円を年利5%で20年積み立てると、運用益は約855万円(元本1,200万円→約2,055万円)。1年待つだけで、同じ条件で約50〜70万円の差が生まれます。「落ち着いてから始めよう」って考え方が、実は一番怖いリスクなんです。
| 開始タイミング | 積立期間 | 資産総額 | 運用益 |
|---|---|---|---|
| 今すぐ開始 | 20年 | 約2,055万円 | 約855万円 |
| 1年後に開始 | 19年 | 約1,934万円 | 約754万円 |
| 2年後に開始 | 18年 | 約1,817万円 | 約657万円 |
| 5年後に開始 | 15年 | 約1,452万円 | 約352万円 |
※月5万円・年利5%・複利計算。「今すぐ開始」と「5年後開始」では運用益が約503万円の差。
理由3:地政学リスクは”株価には”すでに織り込まれている
プロの機関投資家は膨大な情報をもとに即座に動きます。僕たちがニュースを見て「やばい」と思った時点で、その懸念はほぼ株価に反映済みです。「今は危ないから待とう」と思うタイミングって、実はもう下落が一服してることが多いんです。
注意すべき3つのポイント
- 短期で使う予定のお金は投資に回さない:1〜3年以内に必要な資金(住宅頭金・教育費など)は、暴落時に損切りを迫られることがあります
- 石油ショック型への発展は注視する:ホルムズ海峡が長期封鎖・禁輸になったら1973年型のシナリオに近づきます。原油が100ドル超で長期化するなら投資方針の見直しも考えてください
- 日本株(TOPIX)は為替・エネルギーリスクに注意:日本は石油依存度が高いので、円安×原油高のダブルパンチになりやすい。全世界株式や米国株インデックスと組み合わせて地域分散を
まとめ
- 第二次大戦後の主要紛争、S&P500は平均6%下落→でも平均28日で回復。1年後は70%の確率でプラスになってる
- 湾岸戦争・イラク戦争・ウクライナ侵攻、どれも積立を続けた人が結果的に勝っています
- 唯一の例外は「石油禁輸を伴う長期オイルショック型」(1973年)。今のイラン情勢は現状このシナリオとは違う
- 2026年NISAの結論:さっさと始めて、つみたて投資枠で全世界株式を積み立てるのが王道
- 短期で使う予定のお金は投資しない。NISAへ回すのはあくまで長期資金だけ

自分のリスク許容度をしっかり把握しようね。多少下がっただけでショックを受けるようだと過剰な投資になっているかも!下落がチャンスと思えたら長期投資は安泰ですよ!
▼次に読む:NISAを始める気持ちが固まってきたら、次は「どんなスタイルで投資するか」。高配当株とオルカン、僕なりの答えを書きました。



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