
電気代も食費も通信費も、全部ちょっとずつ我慢しているのに、なぜか貯まらない。僕もずっとそうでした。
この記事でわかること
- 節約が続かない本当の理由
- 「削っていいもの」と「削ってはいけないもの」の見分け方
- 削る優先順位のつけ方(現場で16年やってきた方法)
節約の記事を読むと、たいてい「あれもこれも見直しましょう」と書いてあります。電気をこまめに消して、食費を切り詰めて、通信費も下げて、保険も見直して——。
やってみると、これが本当に疲れます。全部に神経を使うので、常に何かを我慢している状態になる。そして2〜3か月で嫌になって、気づけば元通り。頑張っているのに報われない感じだけが残ります。
僕は飲食業界に16年いて、うち10年以上は店長をしていました。やっていたことを一言でいうと「削る」仕事です。その経験から言うと、続かない理由ははっきりしています。
結論:全部ちょっとずつ削るのをやめる
先に結論です。
効かないところは大胆に捨てて、効くところに集中する。これだけです。
全部を少しずつ削ると、労力が分散して効果が見えません。効果が見えないから続かない。逆に「これは捨てる」「これは削らない」を先に決めてしまえば、考えることが減って、勝手に続くようになります。
問題は、何を捨てて何を残すかです。ここを間違えると、削ったのに生活が苦しくなるだけで終わります。僕はそれを現場で覚えました。
僕がいた現場は「削る」のが仕事でした
宅配もやっている飲食チェーンで店長をしていました。毎月の会議で発表するのは生産性という数字です。計算式はシンプルでした。
生産性の計算式
生産性 = 売上 ÷ 人件費
※人件費には店長である自分の勤務も含まれる
ここで大事なのは、自分の労働も分母に入っていることです。つまり「自分が頑張って手を動かす」だけでは、数字はむしろ悪化する。普通の感覚だと「自分がやればタダ」と思いますが、この式ではそうなりません。
そして僕が任されたのは、売上の低い店舗でした。分子である売上を急には増やせない。だから分母である人件費をやりくりするしかない。でも人を減らしすぎると店が回らなくなって、結局売上も落ちる。この板挟みの中で毎月数字を作っていました。
条件の悪いほうで戦っていたので、判断を間違えるとすぐ結果に出ました。
実際に削ったもの:閑散時間の人員
人をたくさん入れれば、注文が入ってから届けるまでの時間は最短になります。サービスとしては当然そのほうがいい。
でも、暇な時間帯に人を入れても売上は増えません。分母だけが増えて生産性が落ちる。だからそこは削りました。
代わりにやったのが、配達時間の設定を30分から60分以上に延ばすことです。少ない人数で回すので、どうしても待たせることになる。正直、勇気がいる判断でした。
ところが実際にやってみると、注文はほとんど減りませんでした。何分待ちだろうが、頼む人は頼む。ここで分かったのは、サービスを落としても失われないものがある、ということです。
そうやって浮かせた分を、ピークタイムに全部寄せます。忙しい時間に全力を出せるよう、閑散時間は休むのではなく仕込みと準備に充てる。シフトもそこに合わせて組む。
全部の時間に全力を出さない。落としていい時間帯を意図的に作る。これが売上の低い店で数字を作る方法でした。
削ってはいけなかったもの
一方で、削って失敗した人も見てきました。同じように数字を求められて、削ってはいけないところに手をつけた店長たちです。共通点は2つありました。
①商品そのものの質
食材を規定より薄めて使う。原価は確かに下がります。でもこれをやった店長は、例外なく降格していきました。
面白いのは、まずアルバイトが気づくことです。「これはよくないことだ」と感じる。すると何が起きるか。店長がいないときに好き放題やるようになります。勝手に商品を食べる、手を抜く。品質を削ると、現場の倫理観のほうが先に壊れる。
順番はこうです。
- 品質を削る
- 従業員が「この店はそういう店だ」と学習する
- 統制が効かなくなる
- 結果的に売上も落ちる
②把握すること
もう一つが、事務所にこもって現場を見なくなるパターンです。バイトに全部やらせて自分は出てこない。当然、店長が手伝わないことへの不満が溜まりますし、何が起きているかも分からなくなります。
ただ、ここが難しいところで、だからといって自分が現場に入り浸ると分母が増えて数字が悪化します。抱え込んでも駄目、放置しても駄目。
僕がやっていたのは、その中間です。心配性なので忙しくなったら様子を見に行きますが、基本的には現場に入らなくても物音で何が起きているか分かる状態にしていました。誰がどう動いているか、あるいは動いていないか。音で分かります。
削ると崩壊する2つ
①商品そのものの質 ②状況を把握すること。この2つに手をつけると、短期的に数字は良くなっても、しばらくして必ず崩れます。逆に言えば、それ以外は削る余地があるということです。
これを家計に持ち込むとどうなるか
ここまでの話を、そのまま家計に当てはめてみます。
やめても誰も困らない支出を探す
配達時間を延ばしても注文が減らなかったように、削っても実は誰も困らない支出があります。そこを見つけるのが最初の仕事です。
僕の場合、JAFの年会費がそれでした。なんとなく毎年更新していましたが、調べたら自動車保険にロードサービスが付いていた。やめても何も困りませんでした。
生命保険も同じです。内容を見直して、今は月1,906円まで下げました。ここは大胆に削ってよかったところです。
逆に、削ってはいけないところ
現場での「商品の質」にあたるのが、生活の質です。ここを削ると、我慢が溜まって最終的に破綻します。食材を薄めた店と同じで、先に気持ちのほうが壊れる。
だから僕は、電気代が高い夏でもエアコンは我慢しません。設定温度を1℃上げて年間940円節約するより、快適に過ごせるほうを取ります。旅行費も年7万円、趣味も月3,000円は最初から予算に入れています。
そしてもう一つが把握すること。家計簿をやめた瞬間に管理は崩れます。ただし、レシートを全部集めて分析するような重い方法だと続きません。「ついでにできる」やり方にするのがコツです。
僕は買い物のたびにお米の値段だけ見ておきます。それだけで「今は安い時期だ」と分かるようになる。物音で現場を把握していたのと同じ発想です。
まとめ
- 全部ちょっとずつ削ると、効果が見えないので続かない
- 効かないところは大胆に捨てて、効くところに集中する
- 削ってはいけないのは「生活の質」と「把握すること」の2つ
- 把握は「ついでにできる」方法にすると続く

16年間ずっと「どこを削ってどこを守るか」を考えてきました。家計でも同じで、我慢の総量を増やさずに済む方法があります。全部頑張らなくて大丈夫です!
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